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急激な血圧低下が起こる迷走神経反射の原因ってなんだ?
普段、血圧が正常値の人でも血圧低下が起こることがあります。
出血するほどの大怪我や病気でもなく、心当たりも無いのに突然血圧が下がってしまう。
それが元でめまいや立ちくらみが起き、失神につながることだってあります。
これは自律神経が何らかの原因で過剰反応して起こるもので、迷走神経と言うものが関係しています。
今回は、身近な血圧低下の原因、迷走神経反射というものについて見ていきます。
迷走神経ってなに?
迷走神経とは、血圧を下げる働きのある副交感神経に含まれる脳神経のひとつで、頸部から胸部、そして腹部などの広範囲に渡って存在し、生命活動に非常に重要な神経です。
飲食物の飲み込みや呼吸、心拍数、胃腸のぜん動運動などを調節します。
食べ物が気管に入りそうになると咳き込みが起こったり、排尿後に血圧が低下するのは迷走神経の働きによるもので、迷走神経反射と言います。
耳の中(外耳道)にもあり、耳かきで外耳道を刺激したら咳が出るのもこの反射です。
迷走神経反射そのものは、誰にでもある、ごく身近な生理現象です。
ただし、場合によっては過度の反射で体調不良を引き起こすこともあります。
迷走神経反射とは?
基本的に迷走神経反射は生命維持のための自己防衛反応です。
ところが、過度のストレスやショック、激しい痛みなど、強い刺激を受けると迷走神経は過剰に反応する場合があります。
健康な人なら、少々苦しい体勢になったり激しく動いたりしても平気なのは、自律神経の働きにより血圧や心拍数が調節されて、血液循環を正常に行えるから。
精神的なショックや物理的な痛みなど、強い刺激を受けて緊張したときには、その状態に対応できるよう交感神経が活発になりますが、過度の高ぶりは血圧の上昇や頻脈を招きます。
あまりに負荷が大きいと、今度は副交感神経(迷走神経)が、高まった心拍数や血圧を抑えようとして過剰に反応します。
徐々に下げるのではなく、反射的に急ブレーキをかけるために急激な血圧低下や徐脈が起こるわけです。
血液の流れが悪くなるので一時的に脳が虚血・酸欠状態になり、めまいや吐き気、冷や汗、痙攣、失神などの症状が現れ、ときには心肺停止が起きることもあります。
具体的には、急に頭から血の気が引いて目の前が真っ暗になり、立っていられなくなると言ったことが起こります。
過剰な迷走神経反射の原因は?
極度の緊張や激しい痛みなどなどにより引き起こされます。
過度の緊張
よくあるのが、小学生が朝礼のときめまいや吐き気を訴え、ときに卒倒するものです。
長く同じ姿勢で、気が張り詰めた状態でいることが負荷となります。
もともとストレスに弱い人が、先生に怒られる・上司に叱責されるなどの緊張状態に置かれてなることも多くあります。
強い痛み
怪我をしたときや、外傷はなくともひざやむこうずね、あごなど、いわゆる急所と呼ばれる部位を激しく打ち付けたときにも起こります。
冷や汗や吐き気をもよおしたり、時には失神することもあります。
恐怖・不安など精神的ショック
自分が恐怖を感じるものに遭遇、あるいはその写真や映像を見たときに起こります。
例えば大量の血や内臓など(の写真や映像)を見たとき。
採血のときに、大した痛みもないのに血管に注射針を通すのを見て気持ち悪くなる等が挙げられます。
ストレス
自分の苦手とすることを強いられている、その空間に長時間居続けないといけないなどが強いストレスとなります。
緊張状態が続いてたかぶった交感神経を正常に戻そうとして迷走神経反射が起こります。
身動きできないほどの人混みに揉まれたときや、息が詰まるほどの閉塞感があるときなど。
狭い部屋の中で、座っていてもなる人もいます。
わたし、ひざを打ってしばらく動けなくなったことがありましたよ!
痛みよりも、めまいがして気持ち悪くなって…
まさに迷走神経反射が起こったんですね。
人によって症状の出方はちがうので、ひざを打ってもなんともない人もいます。
私の場合、包丁で指を切って、流れ出る血を見て気が遠くなったことがありましたけどね。
本来なら生命を守るため起こるはずの迷走神経反射も、不適切に起こると困りものですね。
脱水が迷走神経反射を誘発することもあります。
夏場に朝礼で倒れる子どもは脱水が絡んでいることもあるようですよ。
お年寄りなんかとくにトイレのあとふらつく人がいますけど、多量の排尿や下痢でも水分が失われますね。
それに、排泄の際のいきむこと・腹圧も関係してきます。
迷走神経反射が起こる前提として、まず、頻脈や血圧上昇が起きるということが挙げられます。
つまり交感神経が緊張・興奮することがあってこそ、副交感神経に属する迷走神経が働くわけです。
慌てて興奮を鎮めようとして、今度は逆に血圧低下や徐脈になってしまうと言うことですね。
…まあ、そんな感じですかね。
たしかに、交感神経と副交感神経の関係はアクセルとブレーキのようなもんですから。
排尿・排便の際、腹圧がかかったときも、やはり迷走神経が刺激されて血圧を下げるんですね。
あ〜!それに血管切れそうになることもあるし…
あ、いえいえ、なんでもないです!
そう言えば、トイレのあと便座から立ち上がったときにめまいを起こすのも、この迷走神経反射なのかしら?
いえ、それはまた別なんです。
立ち上がったときにめまいを起こすのは、起立性低血圧によるものです。
しばらくじっとしている状態から急に立ち上がったり起き上がったとき、血圧が急に下がってふらつくんですね。
迷走神経反射はじっとしている状態で起こりやすく、起立性低血圧は急に動き出したとき、体勢の変化で起こります。
どちらも自律神経が関係していますが、迷走神経反射が高くなった血圧を急に下げようとして起こるのに対し、起立性低血圧は脳への血液の供給が、動く早さについていけずに起こります。
起立性低血圧もそうですが、迷走神経反射で起こる症状も一過性のものなので、めまいやふらつき、吐き気がしても5〜10分程度横になっていれば楽になります。
さいごに
迷走神経反射が起きてひどい場合は失神することもあります。
すぐに気を失う場合もあれば、めまいがしたり気分が悪くなって次第に気が遠くなることもあります。
失神の兆候が出たらすぐに横になるかしゃがむ、姿勢を低くすることです。
気が遠くなるのを防ぐため、脳に血液を送りやすくするよう頭を低くして、足のほうを少し高くすると効果が上がります。
両手をきつく握ったり、手足に力を入れて交感神経を刺激すると、失神を回避できることもあるようです。
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