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いろんな原因で起こる失神の種類とその仕組み
いつどこで、どんな状況で起こるかわからない失神。
自分には無縁だと思っていても、脳に血液が行き渡らないだけで、誰にでも起こります。
失神にもいろいろ種類があって、その状況によって発生原因も仕組みも違います。
気を失うと言っても、ほとんどの場合健康に害のないものですが、中には怖い病気によって起こる危険な失神もあるので、発生原因には気をつけないといけません。
今回は、失神の起こる原因や種類について見ていきますよ。
失神の種類・心配ないものと危険なもの
失神とは、数十秒から数分で意識が戻る一過性の意識消失のことを言います。
一時的な脳血流の低下により起こり、放っておいても自然に意識は回復します。
多くの場合、脳血流低下による徐脈と血圧の低下で引き起こされるものです。
心配のない失神
一時的にでも血流低下で脳内酸素が不足すると、めまいやふらつきの症状が現れるのは誰にでも起こりうる生体反射です。
人によって現れ方は様々で、時には失神に至ることもあります。
- 起立性低血圧による失神
- 神経調節性失神(反射性失神)
このふたつは、自律神経が不適切に働くことで血圧低下・徐脈が起こるという点で共通しています。
誘発する因子は色々ありますが、共に失神が起こってもとりわけ生体に影響のないものです。
こわいのは失神が起きたときの周囲の環境による身の危険です。
起立性低血圧による失神
人間は脳に酸素が供給されないと意識がもうろうとなり、立ったまま姿勢を維持できなくなります。
起立性低血圧は、急に立ち上がったときに重力の関係から血液が下肢に下がり、脳に供給されにくくなることで起こります。
通常ならば自律神経の働きで血圧が調節されるところが、自律神経自体がうまく機能しなかったり、出血や脱水、下痢や嘔吐などで体液が減少し、血圧低下になることが原因で一時的な酸素不足に陥ります。
立ち上がったときにめまいが起こり、そのまま気が遠くなって失神してしまうわけです。
神経調節性失神(反射性失神)
過度な自律神経の働きによって血圧低下や徐脈が起き、失神するものです。
神経調節性失神には3種類あります。
1.血管迷走神経反射性失神
血圧や心拍数を下げる働きをする副交感神経。
この副交感神経に含まれる迷走神経が過度に働くことで、急激な血圧低下が起こります。
そのため一時的に脳が酸欠状態に陥り、めまいや冷や汗、立ちくらみ、顔面蒼白などの症状が現れます。
これを迷走神経反射といい、原因となるのは極度の緊張や強い痛み、人混みや恐怖といったストレスなどです。
起立性低血圧とは反対に、長時間同じ姿勢での立位で立ちくらみを起こしたり、気を失うこともあります。
この迷走神経反射による失神が、血管迷走神経反射性失神とよばれるものです。
2.頸動脈洞症候群(頸動脈洞過敏性失神)
頸部の圧迫や首を回したり伸ばしたりすることで頸動脈洞が刺激されて迷走神経反射が起き、失神につながります。
3.状況失神
血管迷走神経反射性失神と同じく、迷走神経反射によって血圧低下が起こり、気を失うものです。
排便・排尿、咳き込みや嚥下(飲食物の飲み込み)など、ある状況や動作に起因して起こります。
危険な失神
心原性失神
自律神経に関係なく、なんの前触れもなく突然失神するもので、不整脈や虚血性心疾患など、心臓の病気で起こります。
突然死につながることもある、非常に怖い失神です。
通常1分ほどで戻る意識がかなり時間をおいても戻らないときは、失神ではなく意識障害と診断されます。
意識障害は、糖尿病や低血糖、脳梗塞、てんかん、心筋梗塞などが原因となって起こることがあり、即座に病院への搬送が必要です。
格闘技で首をしめられて失神するのって、頸動脈洞症候群なのかしら?
プロレス技のスリーパーホールドは、頸動脈洞をしめて迷走神経反射を起こさせ、失神させますよ。
気管をしめて窒息させるわけではないので、技として認められているわけです。
高齢者によくある、トイレで意識を失う人は、状況失神によるものが多いんですね。
腸の迷走神経が刺激されたり、膀胱が空になることで迷走神経反射が起こるようです。
あるいは長時間座った状態から急に立ち上がることで起こる起立性低血圧ですね。
起立性低血圧と血管迷走神経反射性失神って、ちょっと似てますよね。
仕組みは違いますけどね。
起立性低血圧は、静から動の状態になったときに自律神経の切り替えが即座についていけずに起こるもので、血管迷走神経反射性失神は、そのときの状況に耐えきれなくなったときに、自律神経が強制的にストップ
をかけることで起こるものです。
これらの失神って、気を失っても数十秒で意識が戻るんでしょ?
座った状態での失神なら、すぐ意識が戻ればさほど危険はないにしても、立ち上がってから意識を失ったら、転倒して頭を打ったり大怪我につながりますね。
そのとおりです。
失神しても後遺症が残ることはないと言っても、周りの環境によっては危険な場合がありますからね。
危険なのは失神が起きたときの事故
失神の予兆として顔面蒼白になる、めまいが起こる、クラッとして気を失うなどがあります。
これ自体は病気ではないので、失神が起こってもからだに影響はなく、数十秒から数分程度ですぐに意識が戻り、後々の心配もありません。
これらは貧血の症状と共通しています。
めまいやたちくらみで失神すると貧血だと思われがちですが、迷走神経反射や起立性低血圧とは原因も仕組みも根本的に違うものです。
からだには影響のない、心配のない失神でも、外で起きると事故にもつながるので非常に危険です。
例えば
駅のホームや道路で転倒
車の運転中に意識消失など
失神には予兆があるので気をつけよう
- 冷や汗が出る
- 血の気が引いて目の前が真っ暗になる
- 周囲の音が急に聞こえにくくなる
- 気分が悪くなる・吐き気がする
車の運転中に上記のような感じに襲われたら、路肩に停止することです。
歩いているときめまいやフラつきが起こって倒れそうだと思ったら、その場でしゃがむか横になるのが一番。
失神に至らなければ、横になって15分ほど安静にしていればすぐに回復します。
あとがき
私は子どもの頃、突然血の気がサーッと引くのを感じて、目の前が真っ暗になったことが何度かあります。
立っていられないというよりも、これはまずいと感じて本能的にしゃがみこんだ記憶があります。
座ってじっとしていたら失神には至らず、1分もしないうちにもとに戻りました。
要は、脳に血液が供給され、酸素不足が解消されればいいわけなんですね。
立った状態で起こる血圧低下は横になった状態だと起こりません。
起立性低血圧で起こる失神や神経調節性失神では、予兆を感じたらしゃがむ・座る・横になるなどしてしばらくじっとしていることです。
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