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薬とお酒はいっしょに飲むな!危険な飲み合わせとからだへの影響
毎晩晩酌をしている人は多いでしょう。
そんな人も、たまに風邪を引いたり頭痛がしたりで薬を飲む時もあるはず。
でも待って下さい。
薬とお酒、同時に体内に入ると色々まずいことが起きる、食べ合わせならぬ飲み合わせがあるんです。
普段あまりにも当たり前にお酒を飲んでいるため、知らず知らずのうちに飲んだあとに薬も服用してしまったり…。
「薬を飲んだのにかえって気分が悪くなってきた」
「なんだかめまいがする」
と言ったことになった人は注意して下さい。
ホントならそれだけでは済まないことになっていたかもしれないんです。
薬とお酒の同時摂取は危険?
お酒も薬も、体内酵素で分解・代謝されます。
酵素とはタンパク質の一種。
お酒の分解には「アルコール脱水素酵素(ADH)」と「アルデヒド脱水素酵素(ALDH)」が関わっています。
お酒の成分であるエチルアルコール(エタノール)が体内に入ると、アルコール脱水素酵素によってアセトアルデヒドという毒性の強い物質に分解されます。
次にアセトアルデヒドはアルデヒド脱水素酵素によって無害な酢酸に分解され、やがて水や二酸化炭素として排出されます。
少量のアルコールの場合はこれらの酵素だけで処理されますが、短時間に大量のアルコールを摂取すると十分な代謝が追いつかなくなってきます。
そこで助っ人に現れるのがMEOS(ミクロソーム・エタノール酸化酵素)と呼ばれるもの。
MEOSは一つの酵素ではなく、「シトクロムP450」という特別な酵素を含む、複数の酵素群のことです。
シトクロムP450は、アルコールだけでなく、薬剤の分解もおこなう「薬物代謝酵素」です。
アルコールも薬も分解する万能選手ですが、アルコールと薬の両方が同時に体内に入ってきた場合、アルコール分解を優先します。
その結果、薬の分解が遅れてしまうことになるんです。
薬はそもそも体内で徐々に分解され、残ったほどよい成分が広がることで効果を発揮しますが、分解されないままとどまっていると、効きすぎ、言ってみれば薬の過剰摂取同様のことが起こるわけです。
例えば、多量の飲酒の後、睡眠薬を飲んだとします。
すると本来は薬を分解するためのシトクロムP450はアルコール代謝に主力を注ぐため、睡眠薬の分解まで手が回らなくなり、代謝が遅れます。
そのため血中の薬物濃度が高くなり、効果が強く・長く現れて昏睡状態になるなどの危険性も出てくるのです。
酒飲みに薬は効かない?
アルデヒド脱水素酵素は遺伝の関係もあり、もともと少ない人が後天的に増やせるものではありません。
でもシトクロムP450はお酒を飲むとだんだん増えていきます。
下戸だった人が飲んでいるうちにだんだん飲めるようになるのは、シトクロムP450が増加していくからです。
大酒飲みにはシトクロムP450が常に多いということになります。
ところが、薬剤を分解する酵素が多いということは、それだけ薬の効果も弱くなるということです。
薬とお酒の相互作用・同時摂取の影響
お酒(アルコール含有物)と薬の同時摂取はさまざまな相互作用をもたらします。
大きく分けると以下の3種類になります。
1.アルコールと薬の相加効果
薬による作用にアルコールで出現する作用が加算されます。
血圧の高い人が血圧降下剤を服用し、さらにお酒も摂取すると、アルコールによる血管の拡張で血圧降下の度合いが強くなり、立ちくらみや起立性低血圧を引き起こします。
鎮静剤、鎮痛薬、抗うつ薬、抗けいれん薬、抗不安薬などの作用が増強され、アルコールの中枢作用もこれらの薬物によって増強されます。
これら中枢神経抑制薬とアルコールの同時摂取で、強い運動失調が現れます。
インスリンや経口糖尿病薬の血糖降下作用は増強され、低血糖が起こります。
2.薬によるアルコール代謝の阻害
薬がアルコールを分解するアルデヒド脱水素酵素を阻害してしまいます。
アルコール依存症や大酒飲みの人が節酒目的で服用する嫌酒薬を飲んでお酒も摂取した場合、顔面紅潮や悪心、頭痛、血圧加工などのアセトアルデヒド中毒症状が現れます。
ジスルフィラムやシアナミドなど、エタノールの代謝を抑制する薬を飲むと、少量のアルコールを口にしても悪酔いすることがあります。
特にお酒でなくても、奈良漬などの、エチルアルコールを使った食品を食べても同様の症状が出る場合があるようです。
3.アルコールによる薬物代謝の促進・阻害
薬物代謝酵素がアルコール代謝を優先するため、代謝されない薬の効果が増強されてしまいます。
もしくは大量の薬物代謝酵素の出現により、薬が分解されすぎて、効果が減弱していきます。
抗凝血薬であるワーファリンは効き目が増強されても弱くなってもからだに悪影響を及ぼします。
効かないと血が固まり血栓ができ、効き過ぎると脳出血や消化管出血を引き起こす場合もあるのです。
まれに薬物代謝酵素が多いと効き目が落ちるどころか、逆に危険な場合もあります。
風邪薬などに含まれる解熱鎮痛剤「アセトアミノフェン」はシトクロムP450によって酸化し、毒性の強い物質になります。
普段からアルコール摂取量が多く、シトクロムP450が増強していると、少量のアセトアミノフェン摂取でも中毒症状を起こす場合があるのです。
まとめ
大酒飲みやアルコール依存症の人が飲酒中に薬を飲むと、薬物代謝が阻害されて薬が効き過ぎたり予期せぬ副作用が出たりします。
また、薬物代謝酵素(シトクロムP450)が増強されているので、薬の分解速度や処理能力も高くなり、効き目がなくなってしまうのです。
お酒に強くなるということは、同時に薬が効きにくくなるという弊害もあります。
薬もお酒も、飲み過ぎると毒になります。
あまりお酒を飲み過ぎて、何かあったときに痛み止めが効かない、解熱剤が効かないなんていうことになると余計つらい思いをしますね。
飲酒はほどほどに、薬の併用も控えましょう。
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