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急性アルコール中毒が起きる仕組みとその症状・ならないための対策
新人歓迎会や送別会で、何かと飲む機会も増えますね。
しょっちゅう飲んでばかりは肝臓に悪い…ならまだしも、一時短時間での大量のアルコール摂取は急性アルコール中毒の危険性も高まります。
特に二十歳になったばっかりで、お酒に耐性のない人や飲み慣れていない人は要注意。
自分がどの程度飲めるのかわからないので、グイグイ飲んで悪酔いしてしまうこともあります。
どう飲んでいいかわからない、まわりの雰囲気を壊すとまずいなどと心配している人は、アルコールの代謝や中毒症状について知っておくと、自分のペース配分の参考になりますよ。
急性アルコール中毒が起きる仕組み
堂々とお酒を飲めるようになった新成人や、社会人デビューした人たちは、周りの人たちからお酒を勧められますね。
新歓コンパなんて先輩たちからの洗礼の場でもあります。
でもそこで飲み過ぎて大変なことになったという事例は後を絶ちません。
新人はどうしても先輩からのお酌を断れないもの。
周りの雰囲気に飲まれたり、断って気まずい空気にしてはいけないなど、いろいろ気を使ったあげくに自分が潰れてしまうことにもなりかねません。
急性アルコール中毒はどうやって起きる?
お酒はまず、胃や小腸などの消化管で吸収され、血液を通じ全身に運搬されます。
そして肝臓に届き、そこで代謝・分解されていきます。
ヒトの体内には酵素というものが存在しています。
お酒はこの酵素によって、段階をふんで分解されていきます。
でも、この酵素の量は人によって様々で、多い人もいれば少ない人もいます。
アルコールにまだ耐性がなくて酵素の少ない人は、お酒を分解するのに時間もかかるし分解できる量も少ないわけです。
にもかかわらず大量のお酒を短時間で体内に取り込んだら、酵素はアルコールを分解しきれず、毒性の強い成分が体内に留まったままになってしまうんです。
これが急性アルコール中毒が起きる理由ですが、もう少し詳しく解説しましょう。
アルコール代謝の仕組み
アルコールは肝臓内での酸化反応によって、3段階で代謝されていきます。
お酒の成分はエタノール、あるいはエチルアルコールとも呼ばれるものです。
まず体内に入ったエタノールは、肝臓で「アルコール脱水素酵素(ADH)」によって、アセトアルデヒドという物質に分解されます。
アセトアルデヒドは「アルデヒド脱水素酵素(ALDH)」によって酢酸に分解され肝臓を出ます。
そして最終的に二酸化炭素や水となって、オシッコや汗に混じって排出されます。
第2段階:アセトアルデヒド→酢酸
第3段階:酢酸→二酸化炭素・水>排泄
からだにとってアセトアルデヒドは毒性が強く、しかも一番長い時間帯内に溜まっているんです。
アセトアルデヒドは脳神経や自律神経系に作用し、末梢血管を拡張させたり交感神経に作用してカテコールアミンという物質を遊離させ、動悸や呼吸数の増加を引き起こします。
無害な酢酸に分解されないまま長時間体内に溜まっていると、いろんな悪影響がおこるのは当然です。
摂取したアルコール量は、そのまま血中アルコール濃度に影響します。
血中アルコール濃度が高いほど、人体にとって危険度が増すんです。
イッキ飲みのように短時間で多量のアルコールを飲むと、たちまちに血中アルコール濃度が上がって脳を麻痺させ、最終的に呼吸まで止めてしまう急性アルコール中毒に陥ります。
急性アルコール中毒の症状とは
症状は摂取したアルコールの量、つまり血中アルコール濃度によってかわります。
血中濃度20~40㎎/dl(0.02~0.04%)
反応が鈍り、運動機能の低下・気分の昂揚などが現れます。
まあいい感じの酔い加減といえます。
血中濃度50~100㎎/dl(0.05~0.1%)
脈拍・体温上昇、理性がなくなるなど。
抑制が取れるので気分も大きくなるレベルです。
血中濃度110~150㎎/dl(0.11~0.15%)
ふらつき等の運動失調・自己調節機能の低下が現れ、声が大きくなったり怒鳴るようにしゃべったりします。
血中濃度160~300㎎/dl(0.16~0.3%)
吐き気・嘔吐を起こすようになります。
感情も不安定になり、同じことを何度もしゃべったり、反射を要する運動機能の低下が起こります。
血中濃度310~400㎎/dl(0.31~0.4%)
意識が混濁し、ろれつが回らずしゃべれなくなったり、まともに立つこともできなくなったりします。
高次の知的精神活動の抑制が起き、本能的に行動するようになります。
血中濃度410㎎/dl以上(0.41%~)
呼吸器・循環器系の抑制が起こります。
意識を失った状態で、揺り動かしても起きず、死亡に繋がります。
急性アルコール中毒にならないための対策
アルコールは低分子で水溶性かつ脂溶性なため、吸収性が高く、胃で20%、小腸で80%が吸収されます。
胃での吸収速度より小腸での吸収速度のほうが早く、もし胃袋が空っぽの状態でアルコールを摂取した場合、飲んだアルコールは胃を通過してすぐに小腸に送られるため、その吸収はさらに早まります。
結果、血中アルコール濃度は一気に上ることになるんです。
つまり、空腹時の飲酒は悪酔いしやすいということ。
空腹時はアルコールの90%が30分以内に吸収されてしまいますが、胃に食べ物が入っていると、胃での吸収にも時間がかかる上、アルコールが小腸に送られる時間も遅くなります。
アルコール吸収にも時間がかかるので、急激な血中濃度の上昇も抑えられるわけです。
アルコールの血中濃度は短時間でピークに達しますが、各臓器組織に蓄積されると同時に肝臓で代謝されていくので血中アルコール濃度は低下していきます。
以下の3つに注意してください。
- 代謝が追いつかないほどの速いペースで飲まない
- 酵素が対処しきれないほどの多量摂取をしない
- 空っぽの胃にお酒を入れない
お酒に慣れていない人は、食べることをメインに少しづつゆっくり飲むのがおすすめです。
特に酔いが回り始めるまでの最初の30分は様子を見ながら飲むようにしましょう。
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まとめ
まずは次から次にお酒を勧められてもきちんと断って、自分のペースで飲むことです。
イッキ飲みなどもってのほか。
無理やり飲ませようとする行為は「アルコール・ハラスメント」にあたります。
飲酒の強要や、強要した結果、相手が中毒症状を起こせば、それは立派な犯罪行為に値するということを憶えておきましょう。
そのことを知っているだけでも、無理矢理のお酌を断りやすくなるはずです。
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