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インフルエンザ脳症の症状・解熱剤は使っちゃダメなの?
38℃以上の高熱と咳や関節痛などで苦しくつらい思いをするインフルエンザ。
大抵の場合、2〜3日で症状は改善します。
でも子供がインフルエンザにかかってしまったら、命にかかわるインフルエンザ脳症を併発することだってあるのです。
さらに解熱剤が悪影響をおよぼすことも!
今回は、インフルエンザウイルスが引き起こすインフルエンザ脳症と、その対処法について解説していきます。
インフルエンザ脳症とは
主にインフルエンザにかかった5歳以下の乳幼児に多く見られる、神経症状を主とした合併症です。
ウイルスが直接脳に入り込んだり、脳に障害を与えたりといったものではなく、ウイルスによって免疫システムが誤作動を起こす病気です。
インフルエンザにかかり、発熱から数時間~24時間で発症し、急速に進行し、発熱や鼻水・咳・筋肉痛と言った通常のインフルエンザ症状に加え、痙攣・意識障害・異常行動などが見られるようになります。
後遺症や死亡に繋がることもあるので早期対応が求められます。
インフルエンザ脳症の原因と症状
原因
人間の体内ではウイルスに対抗するために免疫システムが働きます。
通常はこの免疫によってウイルスは撃退され、病気は治っていきます。
ところがインフルエンザウイルスによってその免疫が過剰反応し、アレルギーのようなシステム異常を起こしてしまうのです。それがインフルエンザ脳症を発症させる要因なんですが、何が引き金になって免疫が過剰反応を起こすのか、発症のメカニズムははっきり解明されていません。ウイルスの量、そして体質や体調なども影響していると考えられています。
過剰反応した免疫システムは脳内の血中水分を漏出させ、それが元で脳がむくんで脳浮腫をおこします。
脳浮腫により意識障害がおき、呼吸が停止して死につながるのです。
どんな人が発症しやすいのか
インフルエンザの中でもA型、特にA香港型にかかった人に多く見られます。
不思議な事に欧米人での発症例は稀で、東アジア、特に日本人に多く、中でも乳幼児の発症が高い割合を占めています。
乳幼児にかぎらず大人も発症することがあるインフルエンザ脳症は、アスピリン等の解熱剤が起因しているとも考えられています。
アスピリンは脳浮腫を助長し、脳症を起こしやすくしているというのです。
38℃以上の熱が出てインフルエンザだと思っても安易に解熱剤の服用は避けましょう。
特に子供の熱を下げるのに使うと、かえって脳症を引き起こす原因にもなるので注意が必要です。
症状
インフルエンザに感染し、発熱後数時間で急速に発症。
見られる特徴は、発熱や鼻水・咳・筋肉痛と言った通常のインフルエンザ症状とは別に、大きく分けて痙攣、意識障害・異常行動の3つが挙げられます。
痙攣
体が硬直したようにガクガクと震え、その状態が長く、15分以上続くと注意が必要です。
ただし、高い発熱があった場合にも震えは起きるので、インフルエンザ脳症での痙攣と高熱での痙攣を区別し見分けるのは困難です。
意識障害
虚ろな感じで、呼びかけや揺さぶりに対しての反応が弱かったり、ひどくなると強い睡眠状態に陥ります。呼吸はしていてもまったく起きず、呼びかけや揺さぶり、痛みの刺激にも反応しないと言った状態が続くと要注意です。
異常行動
なにもないものに反応する幻覚や幻視、大声を上げたり突然意味不明のことを口走ったり、恐怖に怯えるといった行動をとるようになります。
高熱にうなされる「熱せん妄」でも上記の反応が出ますが、一時的なもので、インフルエンザ脳症の場合はこれらの症状が長く続きます。
対処法
インフルエンザ脳症に関するガイドラインにより重篤化が減少、死亡率も低くなりました。
「インフルエンザ脳症ガイドライン」で検索すると出てくるので、それを参考にし、症状に疑わしい点が見られる場合はお医者さんに相談しましょう。
病院での検査でインフルエンザ脳症と診断された場合の治療は対症療法です。
インフルエンザそのものの治療と、免疫異常による症状を抑える治療の二つを併行していきます。
症状を抑える治療には薬によるものや、体温を下げて脳を保護するために脳内活性酸素を抑える療法、血液中の血漿を入れ替えるために血液を一部交換することなどが挙げられます。
インフルエンザ脳症での死亡率は年々下がっています。
かつては年間100~200人が発症していましたが、現在では数も少なくなり、適切な治療で9割方の患者が治るようになりました。それでもそのうち1~2割の人には知的障害やてんかんなどの後遺症が残ることもあります。
進行がとても早いため、時間が経ってからの対処では遅いと言うこともあるのです。
インフルエンザ脳症が起きないようにするためには、何よりインフルエンザにかからないよう、十分な予防が大事。ワクチン接種やうがい・手洗いを徹底し、少々の熱が出ても解熱剤を使用せず、すぐ病院に行きましょう。
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