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介護を受けたいのに受けられない!介護難民の原因って?
日本で4人に1人と言われていた65歳以上の高齢者の数は年々増え続けて、現在では全体の27%近くにまで及んでいます。
高齢者の中には当然、介護を必要とする人もいるわけですが、年々高齢者の数が増え続ければ、それだけ介護が必要なのに受けられない「介護難民」が増えることになります。
そして2025年にはその数が43万人になると言われているんです。
将来的に増えていく介護難民。
その原因は介護職員と利用者側の双方に関係していました。
介護が必要なのに受けられない原因って?
介護が必要な人が受けられない理由のひとつとして、
- 介護職員の不足(要介護者の方が圧倒的に多い)
- 利用者側の問題(介護保険があるのに負担が多い)
というのが挙げられます。
こんにちは。
健康すっきり生活の管理人、かいりです。
介護士として、グループホームや特別養護老人ホームなどで色んな人のお世話をしてきましたが、どこも職員の数が不足していたり入れ替わりが激しいです。
上記のように、将来的に介護の必要な人がこんなにも増えているのに、肝心の介護をする側の人間が不足しています。
介護業界は「慢性的な人手不足」という状態になっているんです。
介護職員の不足
どうして介護する側(介護職員・介護士)の数が不足しているのかというと
- 給料が安いのでなり手が少ない
- 3Kなので離職率が高い
などの理由があります。
介護職員って、給料が安いの?
人のお世話をしたり、資格のいる仕事なのになんで????
確かに、資格をとって仕事をしてる割には安いです
これには介護の需要が、国の予想をはるかに超えてしまったことが影響しています
順を追って見ていきますね。
介護職の給料はどのくらい?
介護職員不足の理由はやはり「仕事内容に見合った給料ではない」というのがあります。
厚生労働省の資料によると、施設の介護者の平均給与は月21万9700円。
これは全産業平均の32万9600円に対し約11万円も安いんです。
なぜ給料が安いの?
介護職員に支払われる給与は「介護報酬」という介護保険として徴収した税金でまかなわれています。
介護産業の市場は介護保険がスタートした2000年当初は3~4兆円ほどと考えられていました。
でも実際は、2017年現在で9~10兆円と倍になっています。
市場は急成長しました。
でも、給与のもとになっている「介護報酬」は税金として徴収したものなので、報酬としていくら振り分けるかといったことは、国がその数字をコントロールしています。
つまり利用者が増ても、介護職員ががんばっても、介護施設側では給与を設定できないというわけなんです。
介護職の給与はあまり高く設定されていません。
仕事はきつい、ストレスもたまる上に休みが思うようにとれないという理由に加え、給与は安いというのが職員が辞めていくことにつながっています。
これだけの仕事をしてこれっぽっちの給料なんてあり得ないよ!
と思うでしょうが、給与は固定賃金だけとは限りません。
早い時間や遅い時間、夜勤をするとその分手当というのがプラスされます。
今の御時世で僅かなものですが、ボーナスだってでることはでるんです。
施設によって金額に差はありますが、専門性の高い介護福祉士という資格を持つ職員には、資格手当として給与にプラスするところもあります。
介護福祉士とは
社会福祉士及び介護福祉士法で位置付けられた社会福祉業務に携わる人の国家資格です。
介護を必要とする人やその介護者(家族など)に、介護に関しての指導を行うことができます。
福祉系の高校や養成施設を卒業するか、介護の実務経験を3年以上つみ、なおかつ6ヶ月の実務者研修を修了すると受験資格が発生します。
※昨年までは無資格の人でも施設等での実務経験が3年以上あれば試験を受けることができましたが、平成28年度(平成29年1月の試験)からは3年以上の実務経験に加え、上記の実務者研修の修了が必須となりました。
実務者研修について
ホームヘルパー1級と呼ばれていた資格は、平成24年度から実務者研修という資格に改編されました。
同等の資格とはいえ、ホームヘルパー1級を持っている人でも、この実務者研修の受講(修了)が介護福祉士の受験資格に必須となります。
給与面の問題から、政府側の評価として介護報酬をどこまで上げられるかというのが、介護職員を減らさないためにも重要な課題になっています。
利用者側の問題
利用者が必要としているのに、簡単に介護サービスを受けられないもう一つの理由として、介護に関する費用の負担が大きいということがあります。
介護保険があるのに負担が増えてきているということなんです。
介護保険制度が2000年にスタートし、40歳以上の人は給与から負担するようになりました。
将来的にサービスを受けられるよう給料から引かれているのに、一体どうしてこんなことが起きているんでしょう。
費用の変化は?
介護保険が始まった頃の特別養護老人ホーム(特養)の入所費用は平均5万円程度だったのが、この16年間で値上げが相次ぎました。
最も数の多い、一番重いレベル・要介護度5の人が個室を借りた場合、今だと10万円を確実に超える状態にあるんです。
これはもともと待機者が非常に多かったというのも関係しているようで、どんどん値上げをすることで、簡単に入所できないようハードルを上げたとも思えます。
介護保険制度は2013年の改定から方針を変更しました。
施設よりも自宅での介護、「施設から在宅」という方針を示し、できるだけ家で介護するようにと言い出したわけです。
自宅で介護ということは家族の誰かが面倒を見ることになります。
世話をしてくれる家族が誰もいない場合、訪問サービスやデイサービスで一部のみ介護士の世話になるという人もいるわけですが、介護保険適用で本人負担は1割でも、何度も利用すると結構高額になるし、回数にも制限があります。
訪問リハビリを受けると、軽度の人は安くすむ場合でも、重度の人は高額になります。
必要なものはリハビリに関する費用だけじゃありません。
おむつや移動の際の交通費などもあるので、かかる金額は積み重なって多くなります。
経済的負担が大きくなって、回数を減らす人も多くなります。
リハビリや通所ではなく、本当に寝たきりの人だと、結局家族が時間を割いて面倒を見ることにもなるわけです。
中には薬や治療も必要だという人もいるので、その分も費用がかさみます。
受け入れの施設を増やしても、職員の数が少ないと十分に介護サービスが提供できない上、現職の職員の負担も大きくなります。
それはそれでまた離職の原因になってしまいますね。
そのため、家族の介護が必要な時に仕事を休んだ場合に適用される「介護休業制度」が改正され、休んだときの報酬が40%だったのが、2016年8月より67%に増額されました
あとがき
そもそも各家庭が自宅でそれぞれ行っていた介護を社会全体で、みんなで面倒見ようということで始まった介護保険制度。
国の制度として介護保険料をとり始めたわけですが、やり始めて10年ほどで、「やっぱりそれぞれ自宅で」と、各家庭に押し戻す結果となっています。
介護保険スタート時、要支援・要介護者の数は218万人だったのが、2016年では2.8倍の621万人に増えています。
にもかかわらず、介護士の数は約170万人と少なく、2000年より増えてはいるものの、要介護者の数にはるかに及ばず、追いついていない状況です。
次回の介護保険制度の改定は2018年に行われます。
介護職員の報酬額は少しずつ上ってはいますが、ぜひとも介護報酬の大幅見直しを期待したいものです…
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