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アルツハイマー型認知症が原因で死亡することってあるの!?
さっきまでしていたことを覚えていないとか、馴染みのある道具の使い方がまるでわからないと言った、記憶に障害のでる認知症。
その中でもアルツハイマーというのは、よく耳にする病名だと思います。
一般的に記憶障害の代名詞であるこのアルツハイマー病が、実は命にかかわる認知症だというのは意外に知られていません。
今回は、アルツハイマー型認知症が物忘れだけでなく、死因とどう関係しているのかについて見ていきます。
アルツハイマー病とは?
アルツハイマー病は認知症の中でも70歳以上の女性に多く見られる病気です。
進行はゆるやかで、なった本人は気づきにくいのが特徴です。
アルツハイマー型認知症
海馬と大脳皮質連合野を中心にダメージを受け、脳全体が萎縮していきます。
海馬は記憶、大脳皮質連合野は思考や判断などに関係しているので、これらが損傷すると記憶障害や見当識障害などが起こります。
簡単に言うと、今日は何月何日であるとか、ここはどこなのかといった、時間や場所などの記憶が低下します。
いつどこで何をしたか、つい最近の体験も覚えていないと言った事が起こるわけです。
う~ん、そうだよね。
なんで物忘れする病気で死亡につながるの?
今しがたやってたことを忘れてしまうとか、道具の使い方を忘れてしまうとか、そんな事が起こったらどうでしょう?
例えばガスコンロに火をつけたまま忘れて火事になるとか、車を運転中に操作を誤るとか、高速道路の出口に侵入してしまうとかです。
アルツハイマー中等度では、場所がわからず徘徊することもあります。
危険なところに足を踏み入れたり、高いところから落ちることだってあるんですよ。
それはそうだけど、それってやっぱり、事故じゃない?
アルツハイマーだから危険なとこに行っちゃうってわけじゃないんだし、直接の死因とは言えないんじゃないかなあ…
そうですね。
そのとおり、あくまでも「気をつけないと命にかかわる」ということです。
これらはアルツハイマーに起因した事故です。
でも、アルツハイマーが直接、記憶や認識以外の身体機能に障害をもたらすとしたらどうでしょう。
えー!そんなことってあるの!?
アルツハイマーでの死亡原因
アルツハイマー型認知症は初期段階では記憶に関する障害ですが、末期になると運動機能も傷害され、歩くことはもちろん立ったり座ったりもできなくなり、やがては寝たきり状態になってしまいます。
さらに感染症や心不全で亡くなることも少なくありません。
感染症とは、主に誤嚥性の肺炎によるものです。
咀嚼や嚥下がうまくできなくなり、唾液や飲食物とともに口内細菌も気管に入り込んでしまい、肺炎を引き起こします。
脳の神経細胞が死滅して脳萎縮がすすむ病気なので、初めは物忘れでも、嚥下や呼吸などの機能を司る神経も壊れてしまうと、生きていく上での必要な動作ができなくなってしまいます。
私達は普段、こうしようああしようと考えて動きますが、脳が萎縮していくと何をどうしたらいいのかわからなくなります。
そして、物を食べるには口を開ける・噛む・飲み込むと言った動作を行いますが、それら一連の動作そのものができない、つまり必要な部位を動かそうと思っても動かせない状態になります。
つまり、手順がわからないだけでなく、からだの部位も動かなくなってくるわけです。
自力では食事や水分摂取もできなくなって衰弱する、
寝たきりになって体力や免疫力も落ちて感染症にかかりやすくなるなど、
これはもうアルツハイマーが原因であることは明白です。
そっかー!
脳って考えるだけじゃなく、からだを動かす司令塔だから、その神経細胞が壊れてったら機能がストップしちゃうんだね。
はい。
アルツハイマーが原因で肺炎になっても、それがもとで亡くなったら死因は肺炎によるものと診断されることが多かったんですね。
でもアルツハイマーじゃなかったら、肺炎にならなかったかもしれないし、肺炎でもアルツハイマーじゃなかったら治ってたかもしれないんです。
そうですね。
そしてもうひとつ、アルツハイマーが死につながる病気である理由があるんです。
老化が進む速度がはやい
認知症患者の老化速度は非常に速く、通常の2~3倍の年を取るといわれています。
とくにアルツハイマーは脳萎縮が進行する病気なので、脳の衰弱も相まって老化速度も格段に早まるというわけですね。
単純に考えると、70歳で発症して、同い年の人が75歳になっても、アルツハイマーの人は85歳相当の年令になっているということです。
アルツハイマー型認知症は、発症から末期までが平均8年といわれています。
その幅は広く、20年生き続けた人もいれば3年で亡くなる人もいるなどさまざまですが、それでも余命は通常8年くらいです。
つまりアルツハイマーを発症したら、約8年で死に至ると言うことにほかなりません。
このことも、アルツハイマーは命に関わる病気であると言う一つの理由です。
さいごに
私も仕事で何人ものアルツハイマー型認知症の人を見てきました。
施設で亡くなった人もいれば、感染症などの併発で病院に移され、そこで亡くなった人もいます。
認知症を患ってはいるものの、すごく元気だった人が数日で喋らなくなったり、ものを食べなくなって急速に悪化していきました。
脳の萎縮は身体機能をストップさせるという光景を見たわけです。
もうかなり昔の話ですが、認知症は記憶の障害だけで命に別状はないと思っていた考えが一変した体験です。
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