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AEDの使い方は意外に簡単!胸骨圧迫と併せて救命率アップ!!
街でよく見かける赤やオレンジの箱に入った機械・AED。
正常な動作をしなくなった心臓に電気ショックを与えて心臓の停止状態を防ぐ、自動体外式除細動器という医療機器です。
医療機器ではあるけれど、2004年からは一般の人でも使えるようになり、街のあちこちに設置されるようになりました。
でもこのAED、現在50万台設置されているものの、意外に使い方を知っている人は少ないのが現状です。
医療機器だから難しい・へたに触るとかえって危険なのではと誤解されがちですが、AEDは思っているより簡単に扱うことができます。
これを使うだけで救命率が上がり、これまで助からなかった急な心肺停止状態の人も、助かる可能性がぐんと高くなるんです。
意外と簡単に使えるAED
高齢者のお世話をする介護職員は、何かあったときのために救急車到着までの間にやるべき救命措置の講習を受けることがあります。
私が以前勤めていたグループホームでも、消防署の人が来て、心臓マッサージやAEDの使い方講習・演習がありました。
多くの人は心臓が止まってしまった人が身近にいても、自分の手で心肺蘇生なんてとんでもない!と思ってしまうでしょう。
でも、心肺蘇生というのは時間が勝負なんです。
救命率は1分ごとに10%減っていく
救急隊が到着するまでの時間は平均8分以上かかります。
その間に早急に措置をしておかないと、1分経つごとに助かる可能性がどんどん減ってしまいます。
救急隊による処置まで8分以上待つとなると、助かるものも助からなくなりますね。
救急車が到着するまでにやっておくのが、AEDによる処置です。
AEDって何をするための機械?
止まってる心臓に電気ショックを与えて再び動かすための機械でしょ?
正確にはちょっと違います。
心停止状態には2種類あります。
- 心臓の動いていない心静止
- 不規則に痙攣していて正常な機能を果たしていない心室細動
突然の心停止は、心室細動を引き起こしていることが多いんです。
人間のからだには微量の電気が通っています。
心臓は一定のリズムで動いていますが、心臓を動かしている電気がうまく伝わらないと動きが不規則になり、痙攣を起こしてしまいます。
いわゆる不整脈の状態になるわけですね。
心室細動とは、この不整脈が異常に無秩序な状態の時をいいます。
AEDが必要なのは、この心室細動のときだけです。
つまりAEDは、心臓を動かすのではなく、止めてしまうための機械なんですよ。
そっかー。
不規則に動いているのを一旦リセットして再起動させるんですね。
でもただ電気ショックを与えるだけじゃダメなんです。
不規則な動きを止めた心臓を再び動かしてやらないと意味ないですからね。
そのためにAEDと並行して心臓マッサージも行います。
電気ショックで一時的に止めた心臓に胸骨圧迫(心臓マッサージ)を加えると、止まっていた心臓が再び正常に動き出す可能性が高くなります。
- AEDによる電気ショック
- これに加えて胸骨圧迫
日本AED財団のホームページによると、心停止状態の人の救命率はこれらふたつを併せて行うことで格段に上がるとのことです。
119番通報のみ:救命率8.4%
+胸骨圧迫(心臓マッサージ):救命率15.4%(約2倍)
+AEDによる電気ショック:救命率50.4%(約6倍)
AEDには電気ショックを与えるだけでなく診断する機能もあるんです。
必要があれば電気ショックを与えるよう教えてくれるんですよ。
AEDは、装着すると心電図を解析し、電気ショックが必要かどうかを診断します。
そのため心臓が正常に動いている人に間違って電気ショックを与える心配は一切ないというわけです。
AEDはどんな時に使うの?使うときの基準は?
- 呼びかけても反応がない
- 呼吸がおかしい
こういうときは迷わず使いましょう。
心停止は放っておくと確実に死につながります。
AEDについてよく知らない人はどうしたらいいか躊躇してしまいますが、「迷ったら使う」と考えた方がいいです。
AEDの使い方は?
1.フタを開けて電源を入れる
すると、どうするかの手順を音声ガイダンスで順番に指示してくれるので、それに従うだけです。
2.パッドを胸に装着する
対象者の胸をはだけ、素肌に直にパッドを貼ります。
ふたつあるパッドには貼る場所を示した絵がかかれています。
難しい言葉による説明ではないので、誰でもすぐにわかるようになっています。
3.心電図の解析
パッドを貼ると、AEDが心電図を計測しはじめます。
測っている間は対象者に触れず、離れていないといけません。
4.必要な場合は電気ショック
AEDが、電気ショックが必要かを診断し、必要なら自動で充電をはじめます。
この際も、誰も対象者に触れていないかを確認し、誰も触れていなければ、AEDの指示に従って電流のボタンを押します。
電気ショックが必要でない場合
電気ショックの必要がないこともあります。
そういうメッセージが流れた場合でも、2通りの対処法があります。
1.呼びかけに反応がない場合は
変わらず反応を示さないときは、電気ショックは与えなくとも胸骨圧迫(心臓マッサージ)は続けないといけません。
胸骨圧迫をしながら救急隊の到着を待ちましょう。
2.何らかの反応がある場合は
返事をしたりからだの一部が動くような何らかの反応を示したときは、胸骨圧迫の必要はありません。
パッドは貼ったままの状態で救急隊の到着を待ちましょう。
5.電気ショック完了後
電気ショックが完了したあと、胸骨圧迫を再開します。
AEDは2分毎に繰り返し診断を続けるので、パッドはそのまま貼りっぱなしでマッサージを続けます。
2分してAEDが再度解析をする際にも対象者から離れて待ち、必要があればまた電気ショックを行います。
その後また心臓マッサージを繰り返し、救急車の到着を待ちます。
救急隊が到着したら引き継いでもらいます。
胸骨圧迫のポイント
胸骨の中央下部(両乳首の間よりやや下辺り)で、利き手が下になるようにして両手を重ね合わせます。
腕を曲げないようにして体重をかけ、強く・速く・絶え間なく押し続けます。
人の心臓をどうこうするのなんて、考えただけでも難しそう。
でもAEDが診断・サポートをしてくれるので、使う必要があるなら、電源を入れれば後はどうすればいいか手順を教えてくれます。
胸骨圧迫の回数・テンポも、ほとんどの製品がリズムを刻んでくれるので、それに合わせればいいだけです(目安は1分間に100回)。
どうやればいいか考えなくていいので、誰でも安心して、簡単に使える機械です。
使いかた・まとめ
○反応と呼吸確認
呼びかけに応じない・呼吸がおかしいと思ったら、迷わずAEDを使う
○119番通報とAEDの用意・胸骨圧迫
周りに人がいるなら119番通報やAEDの手配をしてもらい、その間にも胸骨圧迫を行う
○AEDが到着したら電源を入れ、パッドを装着
その間も胸骨圧迫を続け、装着しおえたら対象者から離れる
○心電図解析後、必要ならボタンを押して電気ショックを与える
このときも必ず対象者から離れていること
○電気ショックを与えたあと、胸骨圧迫を再開
2分後にまた心電図を解析するときには離れる
○マッサージ・電気ショックの一連の動きを、救急隊が到着するまで繰り返し行う
講習会もある
いざAEDを使うときに慌てないように、自治体や民間企業が主催する講習会があります。
実際に触ってみると使い方や雰囲気もわかるので、何かあった時扱いやすくなりますよ。
市や消防署など公的機関の場合は無料であったり、民間企業や団体の主催する有料のAED講習会でも1,400円くらいから受けられるものもあります。
さいごに
AEDは全国に50万台設置されているにも関わらず、心肺停止した人に使われる割合はわずか4%ほどしかないのが現状です。
難しそうに思えるけれど、音声ガイダンスに従うだけで誰でも簡単に使うことができるAED。
何もしないより何かしたほうが人の命が助かる可能性が上がるので、いざという時には迷わず使うようにしてください。
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